2008年から義務化された、住宅用火災警報器の設置を知る。

住宅用火災警報器(火災報知器) 設置義務化の背景と内容


住宅用火災警報器(火災報知器)の設置がすべての住宅を対象として義務づけられ、2008年6月1日からは既存住宅においても設置義務化されました。


設置が義務づけられた背景には、2006年(平成16年)6月に施行された「改正消防法」の存在があります。


総務庁消防庁が発表した「平成16年における火災の状況」によれば、死者1,009人のうち逃げ遅れによる死者が633人(62.7%)に達しており、住宅火災の死者の6割以上が、「逃げ遅れ」によるものであることがわかります(年齢別では、「65歳以上の高齢者」の割合が多いです)。

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各家庭に火災報知器があれば、これらの悲劇を防げるのではないか、ということで、消防法の改正となったわけです。


ちなみに住宅用火災警報器の導入がある程度進んだ2013年(平成25年)現在では、死者997人のうち逃げ遅れによるものは562人(56.3%)と大きく減少しており、状況の改善が見られます。

また消防庁によると、全国の住宅用火災警報器設置率は約80%(平成25年6月現在)となっています。


改正消防法によれば、「2006年(平成16年)6月1日以降に建てられた新築住宅は、建築段階において、またそれ以前に建てられた既存住宅についても2011年(平成23年)5月31日までに順次、火災警報器を取り付けなければならない」とされていました。


そして2011年(平成23年)6月1日以降、現在は新築・既存を問わずすべての住宅において、住宅用火災警報器の設置が義務づけられています

住宅用火災報知器



ただし注意すべきは、市町村条例で制定されることになっているため、設置場所については、お住まいの市区町村ごとに事情が多少異なっているということです。

たとえば「必ず台所にも設置しなければならない」など、具体的に条例によって独自に決めている市区町村もあれば、そうでない所もあります。


したがって自分が住んでいる住宅については、どこが住宅用火災警報器の設置場所として義務づけられているかにつき、もよりの市区町村窓口や消防署で確認することが必要です。


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住宅用火災警報器(火災報知器)設置 アパート・マンション


一戸建ての場合、設置義務があるのはその家の持ち主とはっきりわかりますが、アパートやマンションにおいては、どうなっているのでしょうか?


改正消防法では、設置義務は住宅の関係者(所有者、管理者又は占有者)にあるものと定めています。

したがって、建物のオーナーと借受人が協議のうえ設置することとなります。




ただし、設置の対象となるのは「自動火災報知設備」または「スプリンクラー設備」が備わっていないマンションとなっています。


消防法施行令において一定床面積以上のマンションは必ずスプリンクラーを設置することと定められていることもあり、国内の分譲マンションにおいては、感知警報装置・スプリンクラーのいずれも備わっていないこと自体が、今日ではそもそも考えにくい状況です。


したがって、ほぼ大部分の分譲マンションにおいては、自分の居室(専有部分)における火災報知器の設置は、努力規定(任意)となっています。


ちなみに、この住宅用火災警報器の設置義務に違反したとしても、現在は罰則規定が設けられていないため、罰金を科せられることはありません。

また、火災保険を契約している方については、仮にこの改正消防法の規定に違反した状態で、万一の火事で家が燃えてしまったとしても、保険がおりないといったこともないでしょう。


しかし、古い賃貸マンションやアパートでは、共用部分には火災報知器が設置されている場合も多いにせよ、居室(専有部分)においては何も設置されていないことが通常でしょう。


出火原因として個々の居室が火元となる事例も多いので、逃げ遅れによる火災の死者を減らすという改正消防法の意図に照らしても、賃貸マンションやアパートの居室にお住まいの方は、ぜひ住宅用火災警報器を設置するようにしましょう。



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住宅用火災警報器(火災報知器) 選択のポイントと価格帯


住宅用火災警報器は、電気製品の量販店やホームセンターなどで市販されています。

価格帯としては機種にもよりますが、3,000円~8,000円前後といったところでしょうか。


「電池タイプ」「電源タイプ」が用意され、「電池タイプ」は電源が残り少なくなると、警報して知らせてくれます。

「電池タイプ」は電源にかかわる取り付け工事なども無く、またリチウム電池も10年程度は持ちますので、こちらのほうが導入しやすいと思われます。


また警報音については、「ピー」と鳴る電子音タイプよりわかりやすいこともあってか、「ピューピュー 火事です 火事です」などと音声で知らせるタイプのほうが普及が進んでいるようです。


住宅用火災警報器は、省令等による規格に適合する必要があります
が、改正消防法を利用した悪質な訪問販売商法が、全国で後を絶たないのが現実のようです。

火災報知器


「市販品は国の認証を受けていないのでダメ」などとウソを並べたて、悪質な営業を展開する悪徳業者がいるそうですので、十分に注意する必要がありますね。

ちなみに、消防署の消防職員が直接販売にくることは絶対にありませんので、ゆめゆめ「『消防署の方から』来ました」などという古典的手口(笑)には、ひっかからないようにしましょう。


なお自治体によっては、「住宅用火災警報器の購入費の助成」「高齢者・障害者世帯を対象とした住宅用火災報知器の給付」を行っている市区町村があります。


自治体広報の不足もあってか、このような制度の存在を知らない住民も残念ながら多く、制度活用の度合いはいまひとつのようです。

制度があって申請条件を満たす場合には、ぜひ利用したいものです。

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お住まいの市区町村のホームページで調べたり、あるいは市区町村役所の担当窓口に問い合わせてみるとよいでしょう。



住宅用火災警報器の品質を知る目安として、「日本消防検定協会」が国の基準に適合するかどうかを検査し、合格した製品につける「NSマーク」という鑑定マークがあることを、おぼえておきましょう。

この「NSマーク」のついている住宅用火災警報器かどうかが、購入の目安となります。


また住宅用火災警報器の種類についても、大まかに把握しておきましょう。


大きく分けて、煙を感知して火災の発生などがあると警報音や音声で知らせる「煙感知式」と、熱を感知して同様に知らせる「熱感知式」の二種類があります。

どこに何を設置するのか?という点ですが、寝室や階段などを含め一般には「煙感知式」を設置し、特に間取りの狭い火を使う台所では「熱感知式」を設置する、とおぼえておきましょう。


また設置後はつい忘れがちなことですが、電池切れや機器の故障で火災時に作動しないようでは、せっかく購入した意味がありませんね。定期的に製品の作動確認をしましょう。


住宅用火災警報器の交換の目安は約10年です。購入時にはまず製造年を確認し、設置時は本体横に「設置年月を記入したシール」を貼っておきましょう。

10年たったら、とりカエル。お宅の火災警報器の話です。(一般社団法人 日本火災報知機工業会)


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住宅用火災警報器(火災報知器)、設置義務のある場所


設置場所は寝室・台所・階段のいずれかとなり、その取付場所は天井か壁となります。


住宅内において設置が義務づけられている場所は、「すべての寝室と階段」になっています。

たとえば、子どもが夜寝ているなら、子ども部屋にも設置義務があります。


また逆に、二階建て住宅において寝室が一階だけならば、階段には設置が不要となります。

しかし寝室が二階ならば、二階にあがる階段にも設置が必要となります。



なお上述のとおり、市区町村の条例において「この場所には必ず設置しなくてはならない」と個別に定めている地域がありますので、注意しましょう。


ちなみに設置するのに特段の資格は不要なので、製品についている説明書を見ながら、自分で取り付けることができます。


今後は設置義務を知らなかったり、あるいはいまだ未設置の家庭において、住宅用火災警報器についての悪質な訪問販売の事例が増えると予想されます。

住宅用火災報知器の不審・強引な訪問販売に遭遇した場合には、決してすぐに購入せず、もよりの消費者センターに事情を話し相談するようにしましょう。



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